
片づけの本や動画を見て「よし、やろう!」と思ったのに、数日後には元どおり…。そんな経験はありませんか?多くの場合、挫折の原因は「収納テクニック」以前に、「収納の基本」があいまいなままスタートしていることにあります。収納はセンスではなく、正しい手順と考え方を押さえれば、誰でも再現できるスキルです。本記事では、初心者でも「散らかりにくい部屋」を作れるようになるための収納術の基本を、順序立てて丁寧に解説します。今日からすぐ実践できるコツを中心にまとめていますので、ぜひ一緒に確認していきましょう。
収納術の基本となる「考え方」を身につける
収納をうまくしたいと思うと、つい「おしゃれな収納グッズ」や「ラベル」「ボックスの色」などに目がいきがちです。しかし、そこから入ると高確率で失敗します。まず最初に整えるべきは、収納に対する考え方と優先順位です。この土台がしっかりしていれば、多少モノが多くても、収納スペースが狭くても、片づく流れを作ることができます。
ここでは、どの部屋・どの家庭にも共通する収納術の「基本ルール」を押さえていきます。
1. 収納の目的は「キレイにしまうこと」ではない
多くの人が、収納=モノを見えないところにしまい込むこと、と考えてしまいます。しかし、本来の目的は取り出しやすく、戻しやすくすることです。たとえ見た目が少し雑でも、「どこに何があるかすぐ分かる」「家族全員が迷わず戻せる」状態であれば、それは良い収納です。
逆に、見た目だけを優先して、奥に詰め込んだり、高い位置に積み上げたりしてしまうと、使うたびにストレスが溜まり、やがて誰も戻さなくなる…という悪循環に陥ります。まずは「見た目の美しさより、生活のしやすさを優先する」と意識を切り替えることがスタートラインです。
2. 「片づけ」より先に「減らす」が必須
どれだけ上手に収納しても、持ち物がキャパシティを大きく超えていれば、必ずあふれます。収納の基本は、いきなり整理せず、まず量を減らすことです。
いきなり全部を見直すのが大変な場合は、次の3つの基準で分けてみてください。
・ここ1年以内に使ったか
・同じ用途のモノを複数持っていないか
・「いつか使うかも」で置いていないか
これらを基準に、「今の生活で本当に使っているモノ」だけを残すイメージで数を絞っていきます。特に、キッチン用品・タオル・文房具・紙袋などは、気づかないうちに増えやすいカテゴリーです。一度テーブルに全部出して「こんなにあったのか」と量を見える化するだけでも、減らす決心がつきやすくなります。
3. 「動線」を意識して収納場所を決める
収納を考えるとき、「空いている場所」から埋めていくのはNGです。片づけやすさを左右するのは、使う場所としまう場所がどれだけ近いか、そして取り出すまでのステップ数が少ないかです。
たとえば、
・ゴミ袋はゴミ箱のすぐ近くに
・ハサミやペンは書類を書くテーブルの近くに
・パジャマはお風呂場から近い場所に
というように、「使う場所」から逆算して収納場所を決めます。これが動線収納です。動線に合っていれば、自然と「使ったら元に戻す」ことがラクになり、散らかりにくくなります。
4. 家族全員が分かる「住所」を決める
片づけが苦手な家の多くは、そもそもモノに決まった住所がないことが多いです。住所とは、「この種類のモノは、ここにしまう」と明確に決めた場所のことです。
・リモコンはテレビボードのこのスペース
・薬はこのボックスの中だけ
・書類はこのファイルケース
といったように、「あいまいにこのあたり」ではなく、誰が見ても一目で分かる位置を決めます。家族の誰かしか理解していない収納は、長続きしません。ラベルをつける、透明のボックスを使うなどして、「見れば分かる」仕組みにしておくことが大切です。
5. 「完璧」を目指さず、7割の完成をゴールにする
一気に全部を完璧にしようとすると、途中で疲れて中断し、そのままになってしまいます。収納の基本は、細かく分けて、短時間で終わる単位で取り組むことです。
・今日はキッチンの引き出し1段だけ
・今日は洗面台の収納だけ
・今日は書類の重要な書類だけ
というように、小さなエリアに区切って、1回15〜30分程度で完了できる範囲に絞りましょう。「完璧にきれいな収納」を目指すより、「7割整っていればOK」という感覚で進めると、継続しやすくなります。
どの部屋にも使える収納術の基本ステップ
収納の考え方を押さえたら、次は具体的な進め方です。「どこから手をつければいいか分からない」と悩む人は多いですが、実は部屋や場所が変わっても、収納の手順はほとんど同じです。
ここでは、「モノを減らす」から「しまう」までの基本ステップを、順を追って見ていきます。リビングでもキッチンでもクローゼットでも使える、汎用性の高い流れです。
ステップ1:エリアを決めて、全部出す
最初に「今日はここだけ」と範囲を決めます。たとえば、「テレビボードの右側の棚」「キッチンの一番上の引き出し」など、小さく限定することがコツです。
決めたら、そのエリアのモノを一度すべて出します。面倒に感じるかもしれませんが、これを省くと「なんとなく詰め直しただけ」で終わってしまいます。全部出すことで、
・持っている量を客観的に把握できる
・同じようなモノの重複に気づける
・奥の方で埋もれていたモノを発見できる
というメリットがあります。
ステップ2:用途ごとにグループ分けする
次に、出したモノを用途や種類ごとに分けます。この作業によって、「似たようなモノがいくつもある」「ほとんど使っていないグループがある」といった傾向が見えてきます。
例として、キッチンの引き出しなら、
・調理器具(おたま、フライ返しなど)
・カトラリー(フォーク、スプーン、箸など)
・保存用品(ラップ、保存袋、タッパーなど)
・消耗品(スポンジ、ゴミ袋など)
といったように、使うシーンを意識しながら分けていきます。グループで分けることで、後の「住所決め」がぐっとスムーズになります。
ステップ3:「残す基準」を決めて選別する
グループ分けができたら、今度は何を残すかを決めます。ここで大事なのは、「捨てるモノを探す」のではなく、残したいモノを選ぶ感覚です。
基準の例としては、
・最近1年以内に使ったか
・同じ用途で、より使いやすいモノが他にないか
・壊れていたり、使いにくかったりしないか
・「いつか使うかも」と思って取っていないか
などです。「使いにくいけれどもったいない」モノを残しておくと、それが収納の邪魔者になり、日常的にストレスの原因になります。よく使うモノほど、厳しめの基準で選ぶと、暮らしやすさが大きく変わってきます。
ステップ4:使用頻度ごとに「ゾーン」を分ける
残すモノが決まったら、今度は収納する場所を考えます。このときに意識したいのが、使用頻度別のゾーニングです。
・毎日使うモノ
・週に数回使うモノ
・月に数回〜数ヶ月に一度使うモノ
というように、使う頻度ごとに3つくらいに分けます。そして、
・毎日使うモノ:一番取り出しやすい高さ・位置
・週に数回使うモノ:少し手を伸ばせば届く位置
・たまに使うモノ:高い位置や奥など、アクセスが悪い位置
のように、収納場所の優先度を決めていきます。これを徹底するだけで、よく使うモノが自然と手前に集まり、「いつも使うモノを探し回る」ことが減っていきます。
ステップ5:収納グッズは「最後」に選ぶ
収納の失敗でよくあるパターンが、「先にボックスやケースを買ってしまう」ことです。先に収納グッズを買うと、
・サイズが合わない
・入りきらずに別の場所へあふれる
・何を入れたか分からなくなる
といった問題が起こりがちです。
収納グッズを選ぶタイミングは、
1. モノを減らし終えたあと
2. 用途ごとのグループ分けとゾーニングが終わったあと
です。そのうえで、「このスペースに、これだけのモノを入れたい」と決まってから、初めてサイズを測り、必要な数や種類を考えます。家にある空き箱や紙袋で仮の仕切りを作ってから、本当に使いやすい形が分かってきた段階で買い替えるのもおすすめです。
ステップ6:ラベルや透明容器で「見える化」する
収納の基本の仕上げとして有効なのが、「見える化」です。特に家族がいる場合や、モノの種類が多い場所では、ラベルや透明の収納が力を発揮します。
・ボックスの前面に中身を書いたラベルを貼る
・書類にはカテゴリ名を書いた見出しを付ける
・よく出し入れするモノは、中身が見えるケースを使う
といった工夫をすると、「ここに戻せばいい」と一目で分かるようになり、片づけのハードルが下がります。ラベルは、市販のラベルシールを使っても良いですし、マスキングテープに手書きでも十分です。
場所別に押さえたい収納術の基本ポイント
ここまで紹介したステップは、どの場所でも使える「共通の型」ですが、エリアごとに特有の悩みや注意点もあります。この章では、特に散らかりやすい代表的な場所について、収納術の基本ポイントを押さえていきます。
1. リビングの収納:モノの「一時置き場」を決める
リビングは家族が集まり、あらゆる物が集まる場所です。そのため、「とりあえず置き」が積み重なりやすくなります。リビング収納の基本は、あえて「一時置き場」を正式な場所として用意することです。
例として、
・郵便物や学校からのお便り用のトレイ
・鍵や財布を置くトレーや小さなボックス
・読みかけの本や雑誌を入れるカゴ
などを決めておきます。床やテーブルの上に直接置くのではなく、「ここにだけはとりあえず置いてもいい」というエリアを用意することで、散らかりの広がりを防げます。
また、リビングには「なんとなく置いてあるけれど、実はあまり使っていないモノ」も多いです。飾りのクッション、使っていないゲーム類、読み終えた雑誌などは、定期的に見直して数を絞ると、掃除の手間も減ってすっきりします。
2. キッチンの収納:動線と「立ち上がりの回数」を減らす
キッチンは、家の中でも特に行動が多い場所です。収納の基本は、調理の流れに沿ってモノの配置を決めることと、できるだけ立ち上がりの回数を減らすことです。
たとえば、
・コンロ周りには、フライパン・鍋・調理器具・油・調味料を集約
・シンク周りには、洗剤・スポンジ・ゴミ袋・ふきん類を集約
・作業台の近くには、まな板・包丁・ボウル・ザルを集約
というように、「この場所でよく行う作業」と「必要なモノ」をセットで考えます。調理中に何度も収納と行き来している場合は、動線が合っていないサインです。
また、キッチンは「使わないけれどなんとなく残しているモノ」の代表例でもあります。大きすぎて出番の少ない鍋、サイズ違いのタッパー、景品でもらったグラスなどは、本当に使っているモノだけに厳選すると、毎日の料理がかなりスムーズになります。
3. クローゼットの収納:ハンガー収納を優先する
クローゼットは服がぎゅうぎゅうに詰まっているのに、「着る服がない」と感じやすい場所です。収納術の基本は、畳むよりもハンガーにかける収納を優先することです。
ハンガー収納には、
・一目で持っている服の量と種類が分かる
・畳む手間が減り、戻すのがラクになる
・シワになりにくい
といったメリットがあります。まずは、「普段よく着るトップス」「ワンピース」「アウター」など、ハンガーにかけられるものを優先的にかけていきます。
畳む必要があるもの(ニット、部屋着、下着、靴下など)は、引き出しの中で立てて収納すると、上から見て一目で分かるようになります。また、クローゼットの中にも「今シーズン」「オフシーズン」を分けるゾーンを作り、今着ない服はカバーをかけて端に寄せるなど、使う頻度で場所を変えることが基本です。
4. 玄関の収納:出かける前後に使うモノだけに絞る
玄関は家の「顔」であり、毎日必ず通る場所です。ここが散らかっていると、家全体が雑然とした印象になります。玄関収納の基本は、出かける前後に使うモノだけに絞ることです。
・よく履く靴
・折りたたみ傘
・鍵類
・宅配関連のハンコやペン
・子どもの通園・通学グッズ
などが中心です。シーズンオフの靴や、めったに履かないフォーマルシューズなどは、別の収納スペースに移せないか検討してみましょう。靴は「一人あたり何足まで玄関に置くか」をルール化すると、管理しやすくなります。
5. 書類・紙類の収納:3ステップの流れを作る
紙類は気づけば山積みになり、どこに何があるか分からなくなりやすいカテゴリです。書類収納の基本は、受け取ってから処分・保管までの流れを3ステップで固定することです。
おすすめの流れは、
1. 一時置きトレー(受け取った紙はまずここへ)
2. 処理用ボックス(後でじっくり読む・記入するなど)
3. 保管ファイル or 破棄(保管するものと捨てるものを分ける)
という形です。保管する書類は、「家に関する書類」「保険に関する書類」「学校・仕事に関する書類」など、カテゴリごとにファイルを分けておくと管理しやすくなります。期限が切れた書類は定期的に見直して、保管期間を過ぎたものは破棄する習慣をつけましょう。
収納術の基本を習慣にするためのコツ
収納術の基本を知っても、「最初だけ頑張って、数ヶ月後には元どおり」という状態になってしまってはもったいないですよね。最後に、整えた収納をキープし、日常生活の中に根づかせるための習慣づくりのコツを紹介します。
1. 「戻す場所までの秒数」を意識する
人は、3秒以上かかる行動を習慣にしにくいと言われることがあります。収納も同じで、「しゃがんで、引き出しを開けて、ボックスを取り出して、フタを開けて戻す」といった手順が必要だと、つい「とりあえずここに置いておこう」となりがちです。
収納を考えるときは、「このモノを元の場所に戻すのに、何手順かかるか?」を意識しましょう。できるだけ、
・開ける扉や引き出しは1つだけ
・フタ付きのボックスは最小限に
・よく使うモノは、出し入れがワンアクションで済むように
という形を目指すと、自然と片づけが習慣化しやすくなります。
2. 「増えやすいモノ」には上限を決める
収納が崩れる大きな原因のひとつが、モノが少しずつ増え続けることです。そこで有効なのが、「増やしやすいモノには上限を決める」という方法です。
たとえば、
・タオルはこの引き出しに入る分だけ
・マグカップはこの棚の1段分だけ
・紙袋はこのボックス1つ分だけ
というように、スペースを「枠」として決めてしまいます。新しいモノを増やしたいときは、
「何かを手放してから、迎え入れる」
というルールを自分に課すと、収納があふれにくくなります。
3. 1日5分の「リセットタイム」を作る
どれだけ収納が整っていても、生活していれば必ず少しずつ散らかります。完璧に散らからない部屋は存在しません。大切なのは、散らかり切る前にリセットする習慣を持つことです。
おすすめは、
・寝る前の5分
・夕食後の10分
・仕事が終わった直後の数分
など、自分の生活リズムに合わせて「毎日同じタイミングでリセットする時間」を決めておくことです。その時間だけは、
・床に出ているモノを元の場所に戻す
・テーブルの上をからにする
・ソファや椅子に置きっぱなしの服を片づける
という簡単なことだけを行います。「これだけは必ずやる」というミニマムなルールを作っておくと、散らかりが慢性化しにくくなります。
4. 家族を巻き込むために「見た目より分かりやすさ」を優先
収納を整えても、自分以外の家族が元に戻してくれなければ、すぐに乱れてしまいます。家族にも協力してもらうためには、おしゃれさより分かりやすさを優先することが重要です。
・子ども用の収納は、低い位置に、大きなラベルで
・よく使うモノは、隠さずオープン収納に
・色や形を揃えすぎて「どれがどれか分からない」状態は避ける
など、「見ればすぐ分かる」「パッと戻せる」仕組みを意識しましょう。収納のルールや場所は、家族会議やちょっとしたタイミングで共有し、「変えたときは説明する」を習慣にしておくと良いです。
5. 完璧主義を手放し、「暮らしやすさ」を基準に見直す
収納術の情報を集めるほど、「もっとおしゃれに」「もっときれいに」と完璧を目指したくなります。しかし、収納の本当の目的は、暮らしをラクにすることです。
・見た目は少し雑でも、自分や家族が使いやすいか
・ストレスを感じる作業が減っているか
・掃除や片づけにかかる時間が短くなったか
といった「暮らしやすさ」を基準に、収納を定期的に見直していきましょう。生活スタイルの変化(子どもの成長、在宅勤務の開始など)に合わせて、収納も柔軟に変えていくことが、長く続けるうえでのポイントです。
まとめ:収納術の基本は「減らす・決める・続ける」の3つ
収納術というと、特別なテクニックやセンスが必要なイメージを持たれがちですが、実際のところは、
・持ち物を見直して、適正量まで減らす
・モノごとに「住所」を決め、動線に合った場所に配置する
・日々の小さな習慣で、整った状態を続ける
という、非常にシンプルな基本の積み重ねです。
「収納の基本」を押さえてから具体的なグッズやテクニックを取り入れると、同じアイテムでも効果が大きく変わります。まずは、家の中の小さなエリアを一つ決めて、本記事で紹介したステップ通りに試してみてください。
毎日の「探し物」が減り、「片づけなきゃ」というストレスから解放されていく感覚を味わえれば、それが次のエリアに取り組む原動力になります。一度に完璧を目指さず、今日できる小さな一歩から、収納術の基本を暮らしに取り入れていきましょう。
