「汚名返上」と「名誉挽回」は、どちらも失った評価を取り戻す場面で使われるため、迷いやすい言葉ですね。スポーツの試合後や仕事での失敗を取り返した場面などで耳にしますが、二つは注目している対象が異なります。

汚名返上は「悪い評判・恥を取り除くこと」、名誉挽回は「失った名誉や評価を取り戻すこと」です。汚名をなくすなら「返上」、名誉を取り戻すなら「挽回」と覚えると迷いません。

汚名返上と名誉挽回の違いを比較表で確認

項目 汚名返上 名誉挽回
意味 悪い評判や不名誉を取り除くこと 失った名誉・信用・評価を取り戻すこと
対象 すでに負っている「汚名」「恥」「悪評」 低下・喪失した「名誉」「信用」「評価」
言葉の方向 マイナスをなくすイメージ プラスを取り戻すイメージ
よく合う場面 疑惑、失態、失敗による悪評を晴らす場面 実績や成果で信頼・名声を回復する場面
英語に近い感覚 clear one’s name(汚名を晴らす) restore one’s reputation(評判を回復する)

汚名返上の意味と使い方

「汚名返上(おめいへんじょう)」は、不名誉な評判や恥を取り除くことです。「汚名」は、本人や組織にとって不名誉な評価を指します。「返上」は、受け取ったものを返す、不要なものを手放すという意味です。

つまり、汚名返上は身についてしまった悪い評価を返して、なくすという組み立ての言葉です。「汚名を返上する」とも言えますが、実際には「汚名返上を果たす」「汚名返上の機会」のように使われることも多いですよ。

汚名返上の例文

  • 前回のミスを教訓にして成果を出し、見事に汚名返上した。
  • 疑いが晴れたことで、彼は長年の汚名を返上できた。
  • この試合は、チームにとって汚名返上の絶好の機会だ。
  • 丁寧な対応を続け、会社は品質問題による汚名を返上した。

「汚名返上」は、単に成績が上がった場合よりも、先に失敗・疑惑・不祥事などによる悪い印象がある場面によく合います。

名誉挽回の意味と使い方

「名誉挽回(めいよばんかい)」は、失った名誉や信用、評価を取り戻すことです。「名誉」は、能力や行いに対して周囲から受ける尊敬や高い評価を指します。「挽回」は、悪くなった状態を元に戻すこと、失ったものを取り戻すことです。

名誉挽回では、悪評そのものを消すことよりも、努力や成果によって以前あった信頼や評価を回復することに重心があります。個人だけでなく、チーム、企業、団体などにも使えます。

名誉挽回の例文

  • 次の大会で優勝し、前回の敗戦から名誉挽回を果たした。
  • 誠実な説明と改善策によって、失った信用の名誉挽回を目指す。
  • 彼女は大きなプロジェクトを成功させ、見事に名誉を挽回した。
  • 今回の提案は、部署全体が名誉挽回するための重要な仕事だ。

なお、「名誉を挽回する」は自然な表現です。一方で、「名誉返上」は、名誉を自ら手放す意味になりやすいため、評価を取り戻す意味では使いません。

どちらを使う?迷ったときの判断方法

選び方は、文章の中で「何をどうしたいのか」を確認すると簡単です。

  • 悪い評判、恥、不名誉を消したい:汚名返上
  • 失った信用、名声、評価を取り戻したい:名誉挽回

たとえば、不正の疑いを晴らす話なら「汚名返上」がぴったりです。実力を示して低下した評価を回復する話なら、「名誉挽回」が自然です。ただし、現実の出来事では悪評を消すことと信頼を回復することが同時に起こるため、両方の表現が成り立つ場合もあります。

「汚名挽回」は誤用?使わないほうがよい理由

「汚名挽回(おめいばんかい)」は、「汚名返上」と「名誉挽回」が混ざった表現としてよく知られています。学校やビジネス文書では誤用として扱われることが多く、使用を避けるのが安心です。

理由は、「挽回」が本来、失ったものや悪化した状態を取り戻す意味だからです。字面どおりに受け取ると、「汚名を取り戻す」、つまり不名誉を再び得るようにも読めてしまいます。そのため、「悪評をなくす」なら汚名返上、「評価を回復する」なら名誉挽回を選びましょう。

「汚名挽回」は会話で見聞きすることがありますが、相手に誤用だと思われる可能性があります。公的な文章、履歴書、報告書、メールでは「汚名返上」または「名誉挽回」に言い換えるのが無難です。

一部の辞書には「汚名をそそぐこと」という意味で掲載されている場合もあります。そのため、完全に意味が通じない言葉ではありません。ただ、受け手によって評価が分かれる表現です。誤解なく伝えることを優先するなら、あえて使う必要はありません。

語源・成り立ちから覚えるコツ

「返上」は、返して差し出すことです。たとえば「免許を返上する」「権利を返上する」のように使います。汚名は持っていたくないものなので、「汚名を返上する」は意味の流れに合っています。

「挽回」は、「挽く」が引き戻すこと、「回」が元へ戻すことにつながる字です。そこから、失った勢い・地位・名誉などを取り戻す意味になりました。「劣勢を挽回する」「遅れを挽回する」と覚えると、「名誉挽回」も理解しやすいですね。

関連する類語・言い換え表現

汚名返上に近い言葉

  • 雪辱を果たす:受けた恥や悔しさを晴らすこと。競技や勝負の場面でよく使います。
  • 疑いを晴らす:疑惑をなくすこと。原因が疑いに限定される表現です。
  • 潔白を証明する:不正や罪がないことを明らかにすることです。
  • 信頼を回復する:ビジネスで使いやすい、具体的でやわらかい言い換えです。

名誉挽回に近い言葉

  • 面目を施す:世間に対する立場や体面を回復することです。やや硬い表現です。
  • 復権する:失っていた地位・権利・名声を取り戻すことです。
  • 再起を果たす:一度失敗した人や組織が、再び活動して成功することです。
  • 評価を取り戻す:日常会話から仕事まで幅広く使える平易な表現です。

まとめ

「汚名返上」は悪い評判や不名誉を取り除くこと、「名誉挽回」は失った名誉や信頼を取り戻すことです。マイナスを消すなら汚名返上、プラスを回復するなら名誉挽回と考えると、使い分けがスッキリします。

また、「汚名挽回」は誤用と受け取られることがあるため、特に仕事や改まった文章では避けましょう。言葉の意味を正しく選べば、努力して評価を取り戻した場面を、より的確に伝えられますよ。

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