「承る」と「伺う」は、どちらも敬語としてよく使われる言葉ですが、いざ使うとなると「何が違うの?」「電話ではどっち?」「訪問するときは?」と迷いやすいですよね。特にビジネスシーンでは、ちょっとした使い分けが印象を左右することもあります。この記事では、私が「承る」と「伺う」の違いを、意味・対象・使う場面ごとに分かりやすく整理してご紹介します。
「承る」と「伺う」の違いがひと目で分かる比較表
| 項目 | 承る | 伺う |
|---|---|---|
| 基本の意味 | 聞く・引き受ける・受ける | 行く・訪ねる・聞く |
| 敬語の種類 | 謙譲語 | 謙譲語 |
| 主な対象 | 依頼、注文、話、意見、用件 | 訪問先の相手、話の内容、意見を持つ相手 |
| ニュアンス | 相手から受け取る、受諾する | 相手のもとへ向かう、たずねる、質問する |
| よくある使い方 | ご注文を承ります、ご意見を承る | 後ほど伺います、お話を伺う |
| 向いている場面 | 接客、受付、電話応対、依頼対応 | 訪問、面談、ヒアリング、丁寧な質問 |
「承る」の意味と使い方
「承る」は、相手からの注文・依頼・話などを、こちらがへりくだって受けるときに使う言葉です。普段の言葉に直すと「聞く」「受ける」「引き受ける」に近いですね。
たとえば、お店で「ご注文を承ります」と言えば、「注文をお受けします」という丁寧な言い方になります。電話応対でも「ご用件を承ります」「ご意見を承りました」のようによく使います。
「承る」が使いやすい場面
- 注文や予約を受けるとき
- 依頼や申し出を受けるとき
- 相手の話や意見を聞くとき
- 受付・窓口・電話応対の場面
「承る」の例文
- お電話にてご予約を承っております。
- ご要望を承りました。
- その件について、詳しく承っております。
- 本日のご注文を承ります。
ポイントは、「相手から何かを受け取る」感覚があることです。注文、相談、依頼、話などを受けるときは「承る」がしっくりきます。
「伺う」の意味と使い方
「伺う」は、「行く」「訪ねる」「聞く」をへりくだって表す言葉です。自分が相手のところへ向かうとき、または相手に話を聞くときによく使います。
たとえば「明日そちらに伺います」は「行きます」の丁寧な言い方ですし、「お話を伺います」は「聞きます」の丁寧な言い方です。ビジネスメールや会話でもとてもよく登場します。
「伺う」が使いやすい場面
- 相手の会社や自宅へ訪問するとき
- 面談や打ち合わせに出向くとき
- 事情や意見を聞くとき
- 質問や確認を丁寧にしたいとき
「伺う」の例文
- 明日の午後、御社へ伺います。
- 後ほど詳しいお話を伺えれば幸いです。
- ご都合のよい日時を伺ってもよろしいでしょうか。
- まずは現状を伺います。
こちらは「自分が動く」「相手に尋ねる」という感覚が中心です。相手のもとへ行く、または相手から話を聞き出すときに向いています。
「承る」と「伺う」の使い分け方
迷ったときは、「何をしている場面か」で考えるとスッキリします。
1. 注文・依頼・用件を受けるなら「承る」
相手から何かを受け付ける場面では「承る」が自然です。
- ご予約を承ります。
- お問い合わせを承りました。
- ご相談を承っております。
2. 訪問するなら「伺う」
自分が相手のところへ行くなら「伺う」を使います。
- 明日、会社に伺います。
- 午後3時ごろ伺う予定です。
3. 話を聞くなら、文脈で「承る」と「伺う」が分かれる
少しややこしいのが、「聞く」という意味で両方使えるところです。ただし、ニュアンスは違います。
- ご意見を承る = 相手の意見を受ける
- お話を伺う = 相手の話を聞く、たずねる
受付・窓口のように「受け付ける」感じが強ければ「承る」、面談やインタビューのように「聞きにいく」感じが強ければ「伺う」がぴったりです。
語源や成り立ちも知っておくと覚えやすい
「承る」は「うけたまわる」と読みます。もともと「受ける」「聞く」といった意味を持ち、相手の言葉や依頼をこちらが受け止めるイメージがあります。
一方の「伺う」は「うかがう」です。古くから「訪ねる」「様子を見る」「聞く」という意味があり、相手に近づいて何かをたずねる感じが含まれています。
この成り立ちを知ると、「承るは受ける側」「伺うは出向く側」という違いが、より自然に頭に入りやすいですよ。
よくある間違いと注意点
「伺わせていただきます」の使いすぎ
丁寧にしようとして「伺わせていただきます」を多用する人もいますが、「伺います」で十分丁寧な場面も多いです。必要以上に長い敬語は、かえって回りくどく感じられることがあります。
「承らせていただきます」も不自然になりやすい
こちらも「承ります」で十分なことが多いです。敬語は重ねればよいわけではなく、自然さが大切ですね。
「お伺いします」は二重敬語ではない
「伺う」自体が謙譲語ですが、「お伺いします」は名詞的にした「伺い」に接頭語の「お」が付いた形で、一般的に広く使われています。実務でもよく見かける自然な表現です。
類語・言い換え表現
「承る」の言い換え
- お受けする
- 拝聴する
- 承知する
- 受領する
ただし、完全に同じではありません。たとえば「拝聴する」は話を聞くことに特化した表現なので、注文や依頼には向きません。
「伺う」の言い換え
- 参る
- 訪問する
- お聞きする
- 拝聞する
「参る」は「行く」に近く、「お聞きする」は「聞く」に近い言い換えです。文脈によって使い分けると、より自然な敬語になります。
こんな場面ではどっち?ミニ判断集
- 電話で用件を聞く:承る
- 相手の会社へ行く:伺う
- お客様の意見を受ける:承る
- 上司から話を聞く:伺う
- 予約を受け付ける:承る
- 現地へ出向いて状況を聞く:伺う
まとめ
「承る」と「伺う」は、どちらも丁寧な謙譲語ですが、役割が違います。「承る」は注文や依頼、話などを受けるときに使い、「伺う」は相手のもとへ行くときや、相手に話を聞くときに使います。
もし迷ったら、「私は今、相手から受けているのか」「相手のところへ向かっているのか」を考えてみてください。それだけで使い分けがかなり簡単になります。日常でも仕事でも使う機会の多い言葉なので、この機会にしっかり整理しておくと安心ですよ。
