上司や先生、お客様の発言を伝えるとき、「おっしゃる」と「言われる」のどちらを使えばよいのか迷うことがありますよね。どちらも「言う」を丁寧に表すように見えますが、敬語としての性質や受け取られ方には違いがあります。私と一緒に、場面に合う自然な使い分けを確認していきましょう。

「おっしゃる」は目上の人の「言う」を表す専用の尊敬語です。一方の「言われる」は、本来は受け身の意味を持ち、文脈によっては尊敬表現にもなりますが、意味が曖昧になりやすい言葉です。

「おっしゃる」と「言われる」の違いを比較表で確認

項目 おっしゃる 言われる
基本の意味 目上の人が言う 人から言われる/目上の人が言う
敬語の種類 尊敬語 受け身、または尊敬の意味の「れる」
主語 上司・先生・お客様など、敬意を示す相手 受け身なら言葉を受けた人、尊敬なら目上の人
ニュアンス 敬意が明確で、ビジネスでも使いやすい 受け身と区別しにくく、文脈によって意味が変わる
例文 部長がおっしゃった内容を共有します。 私は部長に注意を言われました。

「おっしゃる」の意味と正しい使い方

「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語です。話す人ではなく、発言する相手を高める表現なので、上司、取引先、お客様、先生、年長者などの発言に使います。

たとえば、「社長がおっしゃった方針に従います」「お客様は来週がよいとおっしゃいました」のように使います。相手への敬意がはっきり伝わるため、仕事のメール、会議、接客、あいさつなど幅広い場面で安心して使えますよ。

「おっしゃる」の活用と例文

  • 現在形:先生は何とおっしゃいますか。
  • 丁寧形:部長がおっしゃいました。
  • 過去形:先方はそのようにおっしゃっていました。
  • 否定形:お客様は特に何もおっしゃいませんでした。
  • 依頼する形:ご意見をおっしゃってください。

「おっしゃる」は「いらっしゃる」と同じように、「おっしゃります」ではなく「おっしゃいます」と活用します。少し不規則に感じますが、よく使う形なのでセットで覚えておくと便利です。

「おっしゃる」の成り立ち

「おっしゃる」は、古い言葉の「仰せある(おおせある)」が変化した表現です。「仰せ」は目上の人の言葉や命令を表し、そこから相手の発言を敬う言葉として定着しました。漢字では「仰る」と書くこともありますが、現代ではひらがなの「おっしゃる」と表記する場面が多いですね。

「言われる」の意味と使い方

「言われる」は、動詞「言う」に助動詞「れる」が付いた形です。もっとも基本的な意味は受け身で、「誰かから言葉を受けること」を表します。

たとえば、「先生に宿題を忘れないよう言われた」「周囲から無理をしないよう言われています」の「言われる」は受け身です。言った人ではなく、言われた人に焦点があります。

一方で、「会長がそう言われました」のように、目上の人の「言う」を表す尊敬語として使われることもあります。この「れる」は尊敬の助動詞です。ただし、受け身にも読めるため、前後の文が少ないと意味を取り違えられることがあります。

尊敬の「言われる」の例

  • 先生は大切なことだと言われました。
  • 社長が明日の会議について言われています。
  • お客様は品質を重視すると言われました。

これらは文法上、尊敬表現として成り立ちます。ただ、特にメールや正式な案内では、「先生がおっしゃいました」「社長がお話しになりました」のように、敬意が明確な言葉を選ぶほうが伝わりやすいですよ。

目上の人の発言を敬って伝えたいときは、「言われる」より「おっしゃる」を選ぶと、受け身との混同を避けられ、丁寧で自然な印象になります。

迷わないための使い分けのコツ

まず、「誰が主語か」を確かめるのが一番簡単です。上司やお客様など、敬意を向ける相手が発言するなら「おっしゃる」が基本です。自分や第三者が、誰かから注意・指示・評価などを受けるなら「言われる」を使います。

  • 部長が発言する:部長がおっしゃる。
  • 私が部長から注意を受ける:私は部長に言われる。
  • お客様の希望を伝える:お客様はこの色がよいとおっしゃいました。
  • 周囲から評価を受ける:私は周囲から慎重だと言われます。

「部長に言われました」は、部長が自分に何かを伝えたという受け身の文です。「部長が言われました」は、部長が発言したという尊敬表現にも、部長が誰かに言われたという受け身の文にもなり得ます。助詞の「に」と「が」にも注目すると、意味をつかみやすくなりますね。

「おっしゃられる」はなぜ避けるの?

「おっしゃられる」は、「おっしゃる」という尊敬語に、さらに尊敬の「れる」を重ねた形です。このような表現は二重敬語と呼ばれ、一般的な敬語としては避けるのが無難です。

  • 避けたい表現:部長がおっしゃられました。
  • 自然な表現:部長がおっしゃいました。
  • 自然な表現:部長が言われました。

丁寧にしようとして敬語を重ねると、かえって不自然になってしまうことがあります。「おっしゃる」だけで十分に敬意を表せる、と覚えておきましょう。

関連する類語・言い換え表現

「言う」の敬語には、「おっしゃる」以外にも場面に応じた表現があります。発言の内容や伝え方に合わせて選ぶと、文章がより自然になります。

  • お話しになる:まとまった内容を話すときに使いやすい表現です。例:部長が今後の計画についてお話しになりました。
  • ご発言になる:「発言」を丁寧にした表現です。会議や式典など、やや改まった場面に向いています。
  • ご指摘になる:問題点や不足を示すときに使います。例:先生が誤りをご指摘になりました。
  • 申される:古風で、現代の会話や一般的なビジネス文書ではあまり使いません。

なお、自分が「言う」ときに「おっしゃる」は使えません。自分の発言をへりくだって表す場合は「申し上げる」「申す」を使います。「私が申し上げた内容」とすれば、相手への敬意を保てますよ。

まとめ

「おっしゃる」は、目上の人やお客様の「言う」に使う、分かりやすい尊敬語です。「言われる」は主に受け身を表し、尊敬語として使える場合もありますが、意味が曖昧になることがあります。相手の発言を丁寧に伝えたいときは「おっしゃる」、自分が誰かから言葉を受けたことを表すときは「言われる」と考えると迷いません。状況に合った言葉を選んで、気持ちよく伝えたいですね。

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