結論:「する」の敬語は、誰が動作をするかで決まる
「する」の敬語は、相手や目上の人がするなら「なさる」、自分がするなら「いたす」が基本です。相手との上下関係を表す必要がなく、文を丁寧にしたいだけなら「します」を使います。
- 部長が確認する → 部長が確認なさいます(尊敬語)
- 私が確認する → 私が確認いたします(謙譲語)
- 会議をする → 会議をします(丁寧語)
迷ったときは、まず文の主語を確かめましょう。「誰がするのか」を決めるだけで、選ぶべき言葉が見えてきます。ほかの動詞もあわせて確認したい方は、よく使う動詞の敬語(基本編)はこちらをご覧ください。
「する」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い
敬語は大きく分けると、相手の動作を高める尊敬語、自分の動作を控えめに表す謙譲語、文末などを丁寧にする丁寧語の3種類です。「する」も、この役割によって形が変わります。
| 種類 | 「する」の形 | 使う場面 | 例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | なさる | 相手・目上の人の動作 | 先生が説明なさいます |
| 謙譲語 | いたす | 自分側の動作 | 私が説明いたします |
| 丁寧語 | します | 文を丁寧に述べる | 明日、説明します |
相手の動作には「なさる・なさいます」
「なさる」は「する」の尊敬語です。上司、取引先、お客様など、敬意を示したい人の動作に使います。会話やメールでは、丁寧語の「ます」を加えた「なさいます」がよく使われます。
「部長は明日、出張なさいますか」「お客様がご希望なさっている内容を確認します」のように使えます。活用形は「なさる」「なさいます」「なさいました」「なさって」です。「なさる」に「ます」を付けた形は「なさります」ではなく「なさいます」なので、形にも注意しましょう。
自分の動作には「いたす・いたします」
「いたす」は「する」の謙譲語です。自分や自社の人の動作を控えめに表し、聞き手などへの敬意を示します。「私が確認いたします」「弊社の担当者が対応いたします」のように、主語が自分側のときに使います。
ビジネスメールでは、丁寧な文末の「いたします」が便利です。過去形は「いたしました」、接続するときは「いたしまして」となります。ただし、主語が相手なのに「お客様が確認いたします」と書くと、自分側の動作のように扱ってしまうため不適切です。
「します」は丁寧だが、相手を高める言葉ではない
「します」は「する」の丁寧語で、文の言い方を丁寧にします。一方、「なさる」のように動作をする人を高めたり、「いたす」のように自分側を控えめに表したりする働きはありません。
たとえば「私が確認します」は十分丁寧な表現です。取引先への改まった連絡なら「私が確認いたします」とすると、より敬意が明確になります。敬語を重ねれば必ずよいわけではないため、社内の日常会話では「します」、社外への正式な案内では「いたします」というように、場面に応じて選びましょう。
「確認する」「説明する」など、言葉を組み合わせた使い方
「する」は「確認する」「説明する」「連絡する」のように、ほかの言葉と組み合わせて使う機会が多い動詞です。ここでも基本は同じで、相手の動作なら尊敬語、自分の動作なら謙譲語を選びます。
相手の動作:「ご確認なさる」「説明なさる」
「部長が資料を確認なさいます」「先生が手順を説明なさいます」のように、「する」の部分を「なさる」に変えられます。また、相手への依頼では「ご確認ください」「ご確認いただけますか」も自然です。依頼文は「なさる」にこだわるより、読みやすさを優先すると伝わりやすくなります。
自分の動作:「確認いたします」「ご案内いたします」
自分側が行う場合は「内容を確認いたします」「改めてご連絡いたします」と表現できます。また、相手に向けた行為には「お届けします」「ご案内します」のような「お・ご+動作を表す語+する」という形もあります。より改まった場面では「お届けいたします」「ご案内いたします」とできます。
ただし、何にでも「お」や「ご」を付ける必要はありません。「確認いたします」「対応いたします」だけでも、自分側の動作を丁寧に述べられます。迷ったときは、まず「〜いたします」の簡潔な形から考えるとよいでしょう。
会話・メールでそのまま使える「する」の敬語例文
実際の文章では、「何をするか」だけでなく、誰がするかもセットで確認します。次の例は、主語ごとに表現を選ぶ目安になります。
上司や取引先の行動について述べる
- 「課長は午後の打ち合わせに参加なさいます」
- 「お客様は、どちらのプランをご希望なさいますか」
- 「先方のご担当者が最終確認をなさいます」
相手の行動を直接尋ねるなら、「明日、何をなさいますか」のように言えます。ただし、予定を聞く場面では「明日はどのようなご予定ですか」のほうが自然な場合もあります。元の動詞を無理に残す必要はありません。
自分や自社の行動を伝える
- 「資料の内容を確認いたします」
- 「詳細は、明日までにご連絡いたします」
- 「当日は弊社の担当者がご案内いたします」
メールでは、いつ行うかも添えると用件が明確になります。「後ほど確認いたします」より「本日中に確認いたします」、「改めて連絡いたします」より「10月2日までにご連絡いたします」のように、伝えられる範囲で具体的な時期を書くと親切です。実際に守れる期限だけを示しましょう。
相手に何かを依頼する
- 「添付資料をご確認ください」
- 「お手すきの際にご確認いただけますか」
- 「ご都合のよい日時をお知らせください」
「する」の尊敬語を使って「確認なさってください」と言うこともできますが、資料の確認を頼むなら「ご確認ください」が簡潔です。依頼の負担が大きい場合は「恐れ入りますが」などを添え、「恐れ入りますが、明日までにご確認いただけますか」とすると、用件と配慮の両方が伝わります。
「される」と「させていただく」で迷ったときの注意点
「される」も尊敬語だが、受け身と紛らわしい
「される」も、相手の「する」を尊敬語として表せます。たとえば「部長が説明されました」は尊敬の意味で使えます。しかし、「その説明がされた」のような受け身の形にも見えるため、文脈によっては誰が何をしたのか分かりにくくなります。
相手の行動をはっきり示したいなら「部長が説明なさいました」や「部長から説明がありました」と言い換えると明確です。なお、「なさる」にさらに尊敬の「れる」を付けた「なさられる」は敬語を重ねた形になるため、通常は「なさる」を選びます。
「させていただく」を何にでも使わない
「させていただく」は、相手の許可を受け、その行為によって自分側が恩恵を受けるような場面になじむ表現です。単に自分の予定や作業を伝えるだけなら、毎回使う必要はありません。
たとえば、通常の業務連絡なら「資料を確認させていただきます」より「資料を確認いたします」が簡潔です。一方、相手の資料を特別に閲覧する許可を得た場面なら、「拝見させていただきます」など、許可への配慮を示す表現が適する場合もあります。言葉の長さではなく、状況に合っているかで判断しましょう。
まとめ:「する」の敬語は主語を見れば選べる
「する」を敬語にするときは、相手がするなら「なさる」、自分側がするなら「いたす」、丁寧に述べるだけなら「します」と覚えましょう。依頼するときは「ご確認ください」など、場面に合った自然な言い方も選べます。つまり、「誰がするのか」を先に決めることが、敬語を使い分ける一番の近道です。

