電話対応では、相手の表情が見えません。そのため、敬語が正しくても、名乗り方や確認の仕方が曖昧だと用件が伝わりにくくなります。一方で、難しい言葉を並べる必要はありません。決まった順番と基本の言い回しを覚えれば、初めての相手にも落ち着いて対応できます。
この記事では、電話を受けるときの手順を中心に、かけるときの話し方、取り次ぎ・不在時の敬語、間違えやすい表現をまとめます。
電話対応の敬語で押さえたい3つの基本
社外の相手には、自社の人を立てすぎない
取引先など社外の人と話すときは、相手を敬い、自社側については必要以上に敬語を使わないのが基本です。例えば、社内では「田中部長」と呼ぶ相手でも、社外への取り次ぎでは「田中に代わります」と伝えます。「田中部長がいらっしゃいます」のように、自社の人を高める言い方は避けましょう。
敬語の正しさと、聞き取りやすさを両立する
電話では、相手の社名・氏名・用件を聞き取ることが重要です。早口にならないよう、特に名前や数字は区切って話します。聞き取れなかったときは推測せず、「恐れ入ります。お名前をもう一度伺ってもよろしいでしょうか」と確認してください。
最初の一言と最後の一言を決めておく
受電の第一声は「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の△△でございます」、終わりは「お電話ありがとうございました。失礼いたします」のように定型化できます。職場で指定された名乗り方や応答ルールがある場合は、そちらを優先しましょう。
電話を受けるときの敬語と対応手順
受電は、次の6手順で進めると確認漏れを防ぎやすくなります。メモには「相手の会社名・氏名・用件・連絡先・対応者・折り返し期限」の6項目を残すと、担当者にも引き継ぎやすくなります。
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1. 電話に出て、会社名と自分の名前を名乗る
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の△△でございます」と、明るく落ち着いた声で名乗ります。何コール以内に出るかは職場の基準に従ってください。つまずきやすい点:慌てて「もしもし」だけで始めると、相手に電話先が伝わりません。すぐに出られなかった場合も、まず名乗り、必要に応じて「お待たせいたしました」と添えます。
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2. 相手の会社名・氏名を確認する
相手が名乗ったら、「株式会社□□の佐藤様でいらっしゃいますね」と確認します。聞き取れなければ「恐れ入ります。会社名をもう一度伺ってもよろしいでしょうか」と頼みましょう。つまずきやすい点:名前を推測して取り次ぐと、別の人への伝言につながります。漢字が必要な場合は、読み方を確認した後に尋ねます。
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3. 用件と希望する担当者を確認する
「本日はどのようなご用件でしょうか」「どの者におつなぎいたしましょうか」と尋ねます。担当者名を指定された場合は復唱します。つまずきやすい点:詳細を話しにくそうな相手に、用件を無理に聞き出す必要はありません。取り次ぎに必要な範囲を確認し、社内の運用に沿って対応します。
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4. 保留にして担当者へ取り次ぐ
「田中におつなぎいたします。少々お待ちくださいませ」と伝えてから保留にします。担当者には、相手の会社名・氏名・用件を簡潔に伝えます。つまずきやすい点:保留を押す前に社内の会話を始めないこと。取り次ぎ先の確認に時間がかかる場合は、相手を長く待たせたままにせず、一度状況を伝えます。
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5. 不在なら折り返し・伝言の希望を聞く
担当者が不在なら「申し訳ございません。田中はただいま席を外しております。戻り次第、折り返しお電話いたしましょうか」と案内します。折り返しを希望されたら、電話番号と都合のよい時間帯を確認します。つまずきやすい点:戻る時刻が不明なのに「すぐ戻ります」と約束しないこと。分かる範囲だけを伝え、連絡できる時刻を確約できない場合はその旨を説明します。
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6. 内容を復唱して電話を終える
「お電話番号は〇〇、折り返しのご希望は本日午後3時以降でよろしいでしょうか」と重要事項を復唱します。最後に「承知いたしました。お電話ありがとうございました。失礼いたします」と締めます。つまずきやすい点:番号や日時をメモしただけで安心せず、相手の言葉と一致しているか確認します。通話後は、担当者へ速やかに引き継ぎましょう。
かける・取り次ぐ・不在を伝えるときの敬語例
自分から電話をかける場合
電話をかけるときは「名乗る→相手を確認する→時間の都合を聞く→用件を伝える」の順にすると、相手が状況をつかみやすくなります。例えば「お世話になっております。株式会社〇〇の△△と申します。田中様はいらっしゃいますか」と話します。本人につながったら「今、2〜3分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と確認し、用件を簡潔に伝えます。
受付の方に相手を尋ねるときは「田中様はいらっしゃいますか」で構いません。一方、自社の人について社外から尋ねられた場合は「田中はただいま席を外しております」と伝えます。誰について話しているかによって敬語の使い方が変わる点に注意しましょう。
担当者に取り次ぐ場合
相手には「担当の田中におつなぎいたします。少々お待ちくださいませ」と伝えます。担当者が別件の電話中なら、「田中はただいま別の電話に出ております」と状況を説明し、待つ・かけ直す・折り返すなどの希望を確認します。社内で取り次ぐ際は、「株式会社□□の佐藤様から、見積書についてお電話です」と要点を伝えるとスムーズです。
不在・休暇・担当者不明の場合
外出中なら「田中はただいま外出しております」、休暇中なら「田中は本日休みを取っております」と伝えます。理由や私的な予定まで説明する必要はありません。担当者が分からない場合は「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか」と伝え、心当たりだけで転送しないようにします。
伝言を預かる場合は「ご伝言を承ります」と申し出ます。折り返し先を聞くときは「念のため、お電話番号を伺ってもよろしいでしょうか」と確認し、聞いた番号は復唱してください。
電話対応で迷いやすい敬語の比較表
電話では、丁寧にしようとして不自然な表現を使ってしまうことがあります。以下の言い換えを覚えておくと、とっさの場面でも話しやすくなります。
| 場面 | 避けたい言い方 | 使いやすい言い方 |
|---|---|---|
| 相手の名前を聞く | お名前を頂戴できますか | お名前を伺ってもよろしいでしょうか |
| 自分が確認する | 確認させていただきます | 確認いたします |
| 依頼を受ける | 了解しました | 承知いたしました |
| 自社の担当者が不在 | 田中部長はいらっしゃいません | 田中はただいま席を外しております |
| 聞き直す | え? 何ですか? | 恐れ入ります。もう一度お願いできますでしょうか |
| 保留にする | ちょっと待ってください | 少々お待ちくださいませ |
「確認させていただきます」が常に誤りというわけではありません。ただ、自分が通常の業務として確認する場面なら「確認いたします」のほうが簡潔です。また、電話対応の敬語は長ければ丁寧というものではありません。言いにくい表現より、相手に一度で伝わる表現を選びましょう。
よくある失敗と、対応前に確認したい注意点
最後に、電話対応で起こりやすい失敗を確認しましょう。
- 相手の名前や番号を確認せずに引き継ぐ:会社名・氏名・連絡先は必要に応じて復唱し、聞き間違いを防ぎます。
- 保留にせず社内で相談する:受話口の音声が相手に聞こえる可能性を考え、先に保留操作をします。
- 不明な予定を確約する:担当者の戻りや折り返し時刻は、確認できた情報だけを案内します。
- 自社の人に敬称を付けて社外へ話す:社外の相手には「田中部長」ではなく「田中」と伝えます。
- 伝言を受けたままにする:通話後に担当者へ共有し、折り返しの希望時間も漏らさず伝えます。
電話対応で大切なのは、敬語を完璧に暗記することよりも、名乗る・確認する・正確に引き継ぐという流れを守ることです。まずは職場でよく使うフレーズを数個メモし、受電時に見られる場所に置くと実践しやすくなります。
メールや対面での言い方も含め、ビジネス場面の敬語についてさらに詳しく知りたい方はビジネス場面の敬語をまとめた記事もご覧ください。

