丁寧語とは?「です・ます・ございます」の使い方と注意点

結論からいうと、丁寧語は敬語の一種です。敬語は相手や話題に登場する人物への配慮を表す言葉の総称で、そのうち「です」「ます」「ございます」を使って話し方全体を丁寧にするものが丁寧語です。

例えば「部長が来る」を「部長がいらっしゃる」と表現するのは尊敬語、「私が部長のところへ行く」を「私が部長のところへ伺う」とするのは謙譲語です。一方、「明日は雨だ」を「明日は雨です」に変える表現が丁寧語に当たります。

丁寧語だけでも失礼を避けられる場面は多くありますが、目上の人の行動や自分の行動について話すときは、尊敬語・謙譲語との組み合わせが必要です。まずは「敬語という大きな枠の中に丁寧語がある」と理解しましょう。

敬語と丁寧語の違いとは

敬語と丁寧語の最大の違いは、言葉が指す範囲です。敬語は丁寧な言葉遣い全体を表す広い概念ですが、丁寧語はその中に含まれる一つの種類です。

項目 敬語 丁寧語
意味 相手や関係者への敬意・配慮を表す言葉の総称 聞き手に対して丁寧に述べる敬語
主な働き 相手を立てる、自分を控えめに示す、話し方を整える 文末などを丁寧な形に整える
代表例 いらっしゃる、伺う、申す、です、ます です、ます、ございます
使う場面 接客、ビジネス、目上の人との会話など 初対面の人、上司、顧客、公共の場での会話など

例えば「先生が資料を見る」という内容を丁寧語だけで表すと「先生が資料を見ます」です。聞き手に対しては丁寧ですが、「見る」という先生の動作自体には敬意が反映されていません。先生の動作を立てるなら、「先生が資料をご覧になります」と尊敬語を使います。

つまり、丁寧語は会話全体の丁寧さを整える表現であり、尊敬語や謙譲語は文中に登場する人物との関係を示す表現だと考えると分かりやすいでしょう。

敬語は5種類に分けられる

文化審議会が2007年に示した「敬語の指針」では、敬語は次の5種類に分類されています。学校文法などでは「尊敬語・謙譲語・丁寧語」の3種類として説明されることもありますが、現在の公的な整理では、謙譲語を2つに分け、美化語を加えた5分類が基本です。

1.尊敬語

尊敬語は、相手や第三者の行動・状態を高めて表す言葉です。主語になるのは、基本的に上司、顧客、先生など敬意を示したい人物です。

  • 言う:おっしゃる
  • 見る:ご覧になる
  • 来る・行く・いる:いらっしゃる
  • 食べる・飲む:召し上がる

「社長が来ます」も丁寧な文ですが、社長の行動を立てるなら「社長がいらっしゃいます」とします。

2.謙譲語Ⅰ

謙譲語Ⅰは、自分側の行動を低く表すことで、その行動が向かう相手を立てる言葉です。「誰に対する行動か」が重要になります。

  • 聞く・訪ねる:伺う
  • 見る:拝見する
  • 会う:お目にかかる
  • 渡す:お渡しする

例えば「明日、先生の研究室へ伺います」では、訪問先である先生を立てています。

3.謙譲語Ⅱ(丁重語)

謙譲語Ⅱは、自分側の行為を聞き手に対して丁重に述べる言葉です。「参る」「申す」「いたす」「おる」などが該当します。謙譲語Ⅰのように、行動の向かう先を立てるとは限りません。

例えば「私は大阪から参りました」は、移動先を立てるというより、聞き手に対して自分の行動を丁重に伝える表現です。なお、「丁重語」と「丁寧語」は名前が似ていますが、別の種類なので注意しましょう。

4.丁寧語

丁寧語は、「です」「ます」「ございます」などを使い、聞き手に対して丁寧に述べる表現です。人物の上下関係よりも、会話や文章全体の文体を整える役割があります。

  • これは資料だ:これは資料です
  • 明日連絡する:明日連絡します
  • 受付は1階だ:受付は1階でございます

5.美化語

美化語は、物事を上品に表現するための言葉です。「お料理」「お茶」「ご飯」などが代表例です。必ずしも特定の相手を高める表現ではありません。

敬語の全体像や5種類の関係を整理したい場合は、敬語の基本と種類についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

丁寧語の基本となる3つの形

丁寧語を使いこなすには、まず「です」「ます」「ございます」の3つを押さえれば十分です。それぞれ接続する言葉や丁寧さの度合いが異なります。

「です」は名詞や形容詞を丁寧にする

「です」は、主に名詞や形容詞の後ろに付けます。

  • 私は営業担当だ:私は営業担当です
  • この資料は重要だ:この資料は重要です
  • 会議室は広い:会議室は広いです

ただし、動詞の終止形に直接「です」を付けることはできません。「明日行くです」ではなく、「明日行きます」と表現します。

「ます」は動詞を丁寧にする

「ます」は動詞に付く丁寧語です。時制や肯定・否定に応じて、主に次の4パターンに変化します。

  • 現在・未来の肯定:確認します
  • 現在・未来の否定:確認しません
  • 過去の肯定:確認しました
  • 過去の否定:確認しませんでした

依頼するときは「確認してください」よりも、「ご確認をお願いいたします」「ご確認いただけますでしょうか」とすると、相手への配慮がより伝わります。ただし、長くすれば必ず丁寧になるわけではありません。社内連絡などでは「ご確認をお願いします」でも十分な場合があります。

「ございます」は「あります」の丁寧な形

「ございます」は「あります」をさらに丁寧にした表現で、接客や案内、改まったビジネス場面でよく使われます。

  • 在庫があります:在庫がございます
  • 質問はありません:質問はございません
  • 受付は2階です:受付は2階でございます

「ございます」は丁寧度が高い一方、日常会話や親しい同僚との会話で多用すると、堅すぎる印象を与えることがあります。初対面の人や社内の通常業務では「です・ます」、顧客対応や式典では「ございます」も使う、という目安で調整すると自然です。

ビジネスでの丁寧語の使い分けと例文

ビジネスでは、丁寧語だけでよい場面と、尊敬語・謙譲語を組み合わせるべき場面があります。判断するときは、次の2段階で考えましょう。

  • 第1段階:文末を「です・ます」にして、聞き手への丁寧さを整える
  • 第2段階:文中の動作主を確認し、相手側なら尊敬語、自分側なら謙譲語を使う

上司や顧客の行動を表す場合

相手側の行動には尊敬語を使い、文末を丁寧語で整えます。

  • 部長は資料を見ました:部長は資料をご覧になりました
  • お客様が来ます:お客様がいらっしゃいます
  • 先生がそう言いました:先生がそのようにおっしゃいました

「ご覧になる」「いらっしゃる」が尊敬語、「ました」「ます」が丁寧語です。1つの文の中で複数種類の敬語を組み合わせること自体は問題ありません。

自分の行動を表す場合

自分や自社側の行動には謙譲語・丁重語を使い、文末を丁寧語にします。

  • 私が資料を見ます:私が資料を拝見します
  • 明日、御社へ行きます:明日、御社へ伺います
  • 担当者に伝えます:担当者に申し伝えます
  • 後ほど連絡します:後ほどご連絡いたします

社外の人に対して話すときは、自社の上司も「自分側」に含まれます。そのため、「部長がおっしゃいました」ではなく、「部長の田中が申しておりました」と表現するのが基本です。

メールでは文体を統一する

ビジネスメールでは、同じ文章の中で「だ・である調」と「です・ます調」を混在させないようにします。特別な指定がない限り、顧客や取引先へのメールは「です・ます調」が基本です。

また、1文が長くなりすぎると、敬語が正しくても内容が伝わりにくくなります。1文につき1つの要点を目安にし、依頼内容、期限、補足事項を分けて書くと読みやすくなります。

間違えやすい敬語・丁寧語と注意点

二重敬語を避ける

1つの言葉に同じ種類の敬語を重ねる「二重敬語」は、一般に不適切とされます。

  • 誤りやすい例:おっしゃられる
  • 自然な表現:おっしゃる
  • 誤りやすい例:ご覧になられる
  • 自然な表現:ご覧になる

「おっしゃる」「ご覧になる」だけで、すでに尊敬語として成立しています。ただし、「お召し上がりになる」など、習慣として定着している表現もあるため、単純に語数だけで判断しないことが大切です。

「させていただく」を多用しない

「させていただく」は、基本的に相手や第三者の許可を受け、そのことで自分が恩恵を受ける場面に適した表現です。

  • 自然な例:許可をいただき、会場を使用させていただきます
  • 簡潔な表現:資料を送付いたします
  • 回りくどい表現:資料を送付させていただきます

自分の通常業務を伝えるだけなら、「いたします」で十分なケースが少なくありません。

「了解しました」と「承知しました」を使い分ける

「了解しました」が文法的に誤りというわけではありません。ただし、上司や顧客への返答では、より改まった「承知しました」「かしこまりました」が一般的です。「かしこまりました」は、特に接客や顧客対応でよく使われます。

丁寧にしすぎて意味を曖昧にしない

敬語を重ねすぎると、依頼や結論が分かりにくくなります。例えば「ご確認していただけますでしょうか」より、「ご確認いただけますでしょうか」または「ご確認をお願いいたします」のほうが簡潔です。

敬語では、長さよりも「誰の行動か」「誰に敬意を示すのか」「何を依頼しているのか」の3点を明確にすることが重要です。

まとめ:丁寧語は敬語の一部と覚えよう

敬語は、尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ(丁重語)・丁寧語・美化語の5種類に分けられます。その中で丁寧語は、「です」「ます」「ございます」を使い、聞き手に対して話し方を丁寧に整える表現です。

実際の会話では、まず文末を丁寧語にし、相手側の行動には尊敬語、自分側の行動には謙譲語を使うという順番で考えると迷いにくくなります。

つまり、丁寧語は敬語そのものではなく、敬語という大きな枠の中で会話全体を丁寧にする言葉です。