面接では「御社と貴社、どちらを使う?」「敬語を間違えたら評価が下がる?」と不安になりがちです。しかし、難しい表現を重ねる必要はありません。相手の話をよく聞き、基本の敬語で簡潔に答えることが大切です。
この記事では、面接で必要な敬語の使い分けを押さえたうえで、受付・入室・質疑応答・退室の例文を紹介します。当日までに確認できる5つの手順もまとめました。
面接の敬語は「相手を立て、自分を控えめに」が基本
面接で使う敬語には、相手の動作を高める尊敬語、自分の動作を控えめに表す謙譲語、文末を丁寧にする丁寧語があります。すべてを暗記するより、「誰の動作について話しているか」を確認すると選びやすくなります。
| 言いたいこと | 面接での表現例 | ポイント |
|---|---|---|
| 面接官が言う | おっしゃる | 相手の動作なので尊敬語 |
| 自分が言う | 申し上げる | 自分の動作なので謙譲語 |
| 面接官が見る | ご覧になる | 相手の動作なので尊敬語 |
| 自分が見る | 拝見する | 自分の動作なので謙譲語 |
| 会社を指す | 御社/貴社 | 面接などの会話は「御社」、応募書類などの文章は「貴社」が一般的 |
| 理解したと伝える | 承知いたしました | 指示や説明への返答に使える |
「御社」と「貴社」は場面で使い分ける
面接で志望先の会社を呼ぶときは、「御社の事業に魅力を感じています」のように御社を使います。一方、履歴書やメールでは貴社が一般的です。すでに書類で「貴社」と書いていても、面接では「御社」に切り替えて問題ありません。
自分を指す言葉は「私」が無難です。読み方は「わたし」でも「わたくし」でも構いませんが、話しやすい方を選び、面接中は統一しましょう。「僕」「俺」は避けます。
受付から退室まで|面接で使える敬語の例文
面接の敬語は、長い決まり文句を覚えるより、場面ごとに短い一文を用意すると落ち着いて話せます。次の例文を、応募先や自分の状況に合わせて調整してください。
受付・入室時
受付では「本日○時から面接のお約束をしております、○○と申します。採用ご担当者様にお取り次ぎいただけますでしょうか」と伝えます。受付には開始時刻の5〜10分前に着くことを目安にし、早く到着しすぎた場合は近くで時間を調整しましょう。ただし、企業から到着時刻の指定があれば、その案内を優先します。
入室時はノックをして、返事を聞いてから「失礼いたします」と入ります。着席を促されたら「ありがとうございます。失礼いたします」と返せば十分です。入室の作法に意識を取られすぎず、相手の案内を聞くことを優先してください。
質問への回答・聞き返し
質問には「はい。私が志望した理由は、○○です」のように、最初に結論を述べると伝わりやすくなります。質問が聞き取れなかった場合は、推測で答えず「恐れ入ります。もう一度ご質問を伺ってもよろしいでしょうか」と確認しましょう。
考える時間が必要なら「少し考えるお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と伝え、まずは数秒ほど整理してから答えます。話が長くなりそうなときは、結論、理由、具体例の順にまとめると要点がぶれにくくなります。
逆質問・退室時
「何か質問はありますか」と聞かれたときに備え、仕事内容や入社後の期待に関する質問を1〜2個用意しておくと安心です。例えば「入社後、最初の半年で特に期待される役割について伺ってもよろしいでしょうか」と尋ねられます。説明済みの内容を繰り返し質問しないよう、面接中の回答も確認しましょう。
終了時は「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」と感謝を伝えます。退室時は「失礼いたします」と一礼し、静かに退出します。オンライン面接なら、お礼を述べた後、企業から退出方法の案内があればそれに従ってください。
面接の敬語を準備する5つの手順
敬語は本番で完璧にしようとするより、よく使う場面に絞って練習する方が実践しやすくなります。以下の順番で準備しましょう。
-
1. 面接形式と案内を確認する
対面かオンラインか、受付場所、開始時刻、担当者からの連絡事項を確認します。受付がある対面面接なら、到着後に名乗る一文を準備しておきましょう。つまずきやすい点:集合時刻と面接開始時刻を混同しないこと。案内に「○分前に接続」などの指定がある場合は、その指示を優先します。
-
2. よく使う敬語を自分の言葉に置き換える
「御社」「承知いたしました」「伺ってもよろしいでしょうか」「ありがとうございます」の4つを、実際に話す文に入れてみます。敬語だけを単語で覚えるより、文ごと声に出す方が本番で使いやすくなります。つまずきやすい点:普段使わない長い言い回しを無理に選ばないこと。「お聞きしてもよろしいでしょうか」のような、言いやすい表現でも十分丁寧です。
-
3. 自己紹介と志望理由を声に出す
自己紹介は、氏名、経歴の要点、あいさつを30秒〜1分程度に収める練習をします。ただし、面接官から時間の指定があれば、それに合わせてください。志望理由は丸暗記せず、結論と理由を短い言葉で整理します。つまずきやすい点:原稿を一字一句再現しようとすると、言葉を忘れた際に止まりやすくなります。要点を箇条書きにして練習しましょう。
-
4. 聞き返しと言い直しを練習する
「恐れ入ります。もう一度伺ってもよろしいでしょうか」「失礼いたしました。○○と申し上げたかったのですが、正しくは△△です」を一度声に出しておきます。つまずきやすい点:間違いを隠そうとして説明を長くしないこと。短く訂正したら、回答の本筋に戻りましょう。
-
5. 開始から終了まで通して確認する
受付で名乗る、入室する、質問に答える、逆質問をする、お礼を述べる、という順番を通して練習します。スマートフォンの録音機能を使い、語尾が「です・ます」になっているか、声が聞き取りやすいかを確認する方法もあります。つまずきやすい点:言葉遣いばかりを気にせず、質問への回答内容にも意識を向けてください。
迷いやすい敬語は、短く自然な表現に直す
面接では、丁寧にしようとして言葉を重ねすぎることがあります。迷ったら、意味が明確で言いやすい表現を選びましょう。
| 迷いやすい表現 | 言い換え例 | 理由 |
|---|---|---|
| 「御社様」 | 「御社」 | 「御社」だけで相手の会社を敬って表せる |
| 「おっしゃられる」 | 「おっしゃる」 | 敬語を重ねず簡潔に言える |
| 「こちらが資料になります」 | 「こちらが資料です」 | 資料を示すだけなら「です」で明確 |
| 「了解しました」 | 「承知いたしました」 | 面接官の説明や指示への返答として無難 |
| 「質問してもいいですか」 | 「質問してもよろしいでしょうか」 | 面接の場に合った丁寧な尋ね方 |
「了解しました」が必ず失礼というわけではありません。ただ、面接で迷わず返答したいなら「承知いたしました」を覚えておくと便利です。また、「させていただく」を多用すると文が長くなります。「説明いたします」「お答えします」で伝わる場面では、短い表現を選びましょう。
会社との会話だけでなく、電話やメールなど場面ごとの言葉遣いも確認したい方は、ビジネス場面の敬語についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
よくある失敗・注意点を確認して面接に臨もう
面接の敬語で気をつけたいのは、難しい言葉を知らないことより、相手の話を聞かずに答えたり、丁寧に話そうとして内容が伝わらなくなったりすることです。最後に、次の点を確認してください。
- 「御社」と「貴社」の混同:面接で話すときは「御社」、応募書類やメールでは「貴社」を基本にする。
- 尊敬語と謙譲語の取り違え:面接官の動作か、自分の動作かを考えて選ぶ。
- 長すぎる敬語:「です・ます」を基本に、短く分かりやすく答える。
- 聞き取れないまま回答:質問が不明確なら、丁寧に聞き返す。
- 言い間違いへの過度な動揺:気づいた時点で簡潔に訂正し、話を続ける。
敬語を一言も間違えないことだけを目標にする必要はありません。使う言葉を事前に絞って練習し、当日は相手の質問に誠実かつ分かりやすく答えましょう。

