年始の手紙やメールでは、「新春の候はいつまで使える?」「あけましておめでとうございますだけでよい?」と迷うことがあります。年始の時候の挨拶は、相手に届く時期・相手との関係・手紙かメールかの3点で選ぶと、自然に整えられます。
新年らしい表現を使うなら、一般には松の内が一つの目安です。ただし、松の内は1月7日までとする地域も、1月15日までとする地域もあります。この記事では、1月の時期別の使い分けと、そのまま応用できる例文を紹介します。
年始の時候の挨拶とは?新年の挨拶との違い
時候の挨拶は季節を伝える書き出し
時候の挨拶とは、手紙の冒頭で季節や気候に触れる言葉です。年始には「新春の候」「初春の候」などが使われます。「候」は「ころ・季節」という意味で、「新春の候」は新しい年を迎えた時節を表します。
一方、「あけましておめでとうございます」「謹んで新年のお慶びを申し上げます」は、新年を祝う挨拶です。役割は異なりますが、年始の文章では新年の挨拶を中心に据え、季節の言葉を重ねすぎない書き方もできます。
改まった手紙とメールでは形式を変える
取引先への正式な書状では、次の順序を基本にすると整います。
- 頭語:「拝啓」など
- 時候の挨拶:「新春の候」など
- 相手の繁栄や健康を喜ぶ言葉
- 前年のお礼、新年のお願い、用件
- 結びの挨拶と結語:「敬具」など
ビジネスメールでは、頭語・結語や「〇〇の候」を省き、新年の挨拶から始めても失礼ではありません。形式を増やすことより、相手が読みやすく、用件が伝わることを優先しましょう。年賀状も、賀詞を中心に簡潔にまとめるのが一般的です。
年始の時候の挨拶はいつまで?1月の使い分け比較表
「年始」が指す期間には、すべての場面に共通する厳密な区切りはありません。新年を祝う表現は松の内を目安とし、その後は寒さを伝える表現に切り替えると選びやすくなります。
| 表現 | 使う時期の目安 | 特徴・向いている場面 |
|---|---|---|
| 新春の候 | 1月初め、特に松の内ごろ | 新年らしさが伝わる定番。取引先への書状に使いやすい |
| 初春の候 | 1月初め、特に松の内ごろ | 新しい年を迎えた喜びを表す、改まった言い回し |
| 迎春 | 年賀状など、新年を祝う時期 | 時候の挨拶ではなく賀詞。目上にはより丁寧な賀詞が無難 |
| 厳寒の候 | 1月の寒さが厳しい時期 | 松の内を過ぎた手紙にも使いやすい |
| 大寒の候 | 大寒から立春の前日ごろ | 暦に沿った表現。大寒は例年1月20日ごろ |
| 寒さ厳しき折 | 1月を中心とする寒い時期 | やわらかい表現。個人宛ての手紙や結びにも適する |
「新春」「初春」は暖かさを表す言葉ではない
新春や初春に「春」が入っているのは、新年を春として祝ってきた暦の文化によるものです。現在の1月が寒くても、年始の挨拶として問題なく使えます。桜が咲く時期まで待つ必要はありません。
これらの表現には一律の使用期限があるわけではありませんが、1月後半に新年らしさを強く出すと、やや遅い印象になる場合があります。迷ったら、松の内を過ぎた段階で「厳寒の候」などに切り替えるのが無難です。
松の内と二十四節気は別の目安
松の内は正月飾りを飾る期間に関わる慣習で、地域差があります。一方、小寒・大寒・立春は暦の区切りです。小寒は例年1月5日ごろ、大寒は1月20日ごろ、立春は2月4日ごろですが、年によって日付が変わります。
「大寒の候」を使うときは、その年の暦を確認してください。郵送する手紙は、書いた日ではなく相手に届く日を基準に考えることも大切です。
そのまま使える年始の時候の挨拶・例文
取引先に送る正式な手紙
改まった書状では、時候の挨拶に相手の繁栄を喜ぶ言葉を続け、前年のお礼と今後のお願いを伝えます。
拝啓 新春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
旧年中は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本年もより一層お役に立てるよう努めてまいりますので、変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
貴社のますますのご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
「貴社」は会社宛ての表現です。個人に送る場合は「〇〇様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」などに変えます。「拝啓」と「敬具」は対応する組み合わせです。
取引先に送る年始のビジネスメール
メールでは、挨拶・お礼・用件を短い段落に分けると読みやすくなります。次の営業開始日の部分は、自社の実際の日付に置き換えてください。
件名:新年のご挨拶/株式会社〇〇・氏名
株式会社〇〇
〇〇様
あけましておめでとうございます。
株式会社〇〇の〇〇です。
旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
弊社は1月〇日より通常営業しております。
ご相談などございましたら、お気軽にお申し付けください。
皆様のご健勝と貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
打ち合わせの調整など、別の用件がある場合は、新年の挨拶を2〜3文程度にまとめて本題へ進むと親切です。同じ相手への2通目以降のメールで、新年の挨拶を毎回繰り返す必要はありません。
上司・恩師など目上の方への挨拶
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は温かいご指導を賜り、誠にありがとうございました。
本年も一つひとつの課題に真摯に取り組んでまいります。
引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
寒い日が続きますので、どうぞご自愛ください。
定型文だけで終わらせず、実際に受けた助言へのお礼や今年の目標を1文加えると、気持ちが伝わります。書いていない出来事や、実際には受けていない支援を無理に付け足す必要はありません。
親しい友人・親族へのやわらかい挨拶
あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、いかがお過ごしですか。
昨年は何かと気にかけてくださり、ありがとうございました。
今年もお会いできるのを楽しみにしています。
寒さが厳しくなりますので、暖かくしてお過ごしください。
親しい相手には、「〇〇の候」よりも日常の言葉がなじみます。天候に触れるときは、相手の地域が雪国か温暖な地域かなども考え、状況が分からなければ「寒い日が続きますね」のような広く使える表現を選びましょう。
遅れた年始の挨拶・喪中で気をつけたいマナー
松の内を過ぎたら寒中見舞いを検討する
年賀状を出す時期を逃した場合は、寒中見舞いに切り替える方法があります。一般には松の内が明けてから立春の前日までが目安です。松の内を1月7日までとする地域なら1月8日以降、1月15日までとする地域なら1月16日以降と考えます。
寒中お見舞い申し上げます。
厳しい寒さが続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
ご挨拶が遅くなり、失礼いたしました。
本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
皆様が健やかに過ごされますようお祈り申し上げます。
仕事のメールは、遅くなったからといって必ず寒中見舞いの形式にする必要はありません。「年始のご挨拶が遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします」と短く添える方法もあります。
喪中の場合はお祝いの言葉を避ける
自分や相手が喪中の場合、私的な年賀のやり取りでは「おめでとうございます」「謹賀新年」などの祝い言葉を控えます。「新春の候」なども無理に使わず、寒中見舞いとして寒さや相手の健康を気遣う内容にすると配慮が伝わります。
ただし、喪中に対する考え方は家庭や関係性によって異なります。企業間の業務連絡は個人の年賀状と同じ扱いとは限りません。必要な連絡は滞らせず、「昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます」など、祝意を強調しない表現を選びましょう。
年始の時候の挨拶に添える結びの言葉
書き出しだけでなく、結びにも相手を思いやる一言を添えると、文章全体がまとまります。相手や目的に合わせ、次のように使い分けられます。
- 会社宛て:貴社のますますのご発展と、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
- 目上の個人宛て:本年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
- 健康を気遣う場合:寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください。
- 親しい相手:今年も笑顔の多い一年になりますように。
「ご自愛」には自分の体を大切にする意味があるため、「お体をご自愛ください」ではなく「どうぞご自愛ください」とするほうがすっきりします。療養中の方には、「どうぞ無理をなさらず、ゆっくりお休みください」など、状況に合う言葉を選ぶとよいでしょう。
なお、書き出しで新年のお祝いを述べた場合、結びでも同じ祝い言葉を重ねるより、健康や今後の付き合いに触れると自然です。
まとめ|相手と時期に合わせて年始の挨拶を選ぼう
年始の時候の挨拶は、新年らしさを出すなら「新春の候」「初春の候」、松の内を過ぎたら「厳寒の候」などが使いやすい表現です。日付だけで機械的に決めず、相手の地域の習慣と、文章を届ける目的を合わせて考えましょう。
1月以外の表現や冬全体の使い分けも確認したい方は、冬の時候の挨拶についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
最後に、書く人の目的別におすすめを整理します。
- 格式を重視したい方:「拝啓 新春の候」から始める正式な手紙がおすすめです。
- 仕事で簡潔に伝えたい方:メールで新年の挨拶と前年のお礼を述べ、早めに本題へ進みましょう。
- 温かさを伝えたい方:日常の言葉に、相手との関係が伝わる具体的なお礼を1文添えてください。
- 送る時期が遅くなった方:私的な便りは寒中見舞い、業務メールは祝い言葉を重ねない簡潔な挨拶がおすすめです。

