「読む」の敬語は?お読みになる・拝読するの使い分け

「読む」を敬語にするときは、誰が読むのかを最初に確認しましょう。上司や取引先が読むなら尊敬語の「お読みになる」、自分が相手の文章を読むなら謙譲語の「拝読する」、単に丁寧に話すなら「読みます」が基本です。

ただし、メールでは「読んでください」を「ご一読ください」に言い換えるなど、場面に合った表現を選ぶことも大切です。この記事では、基本の形から依頼・報告の例文、間違えやすい言い方まで順に解説します。

「読む」の敬語は3種類|まずは誰が読むかで判断

敬語は、動作の主語を基準に考えると整理しやすくなります。「読む」の主語が相手なら相手を立てる尊敬語、自分なら自分の動作を低く表す謙譲語を使います。改まった表現が不要で、文を丁寧にしたいだけなら丁寧語で十分です。

種類 「読む」の形 使う場面と例
尊敬語 お読みになる 相手が読む:「部長は資料をお読みになりました」
謙譲語 拝読する 自分が読む:「お送りいただいた資料を拝読しました」
丁寧語 読みます 丁寧に述べる:「これから資料を読みます」

覚える順番は「相手が読む→お読みになる」「自分が読む→拝読する」「丁寧に言う→読みます」の3段階です。「拝読」は自分側の動作に使う言葉なので、取引先に対して「拝読してください」とは言いません。

相手が読むなら「お読みになる」

「お読みになる」は、「お+読むの連用形『読み』+になる」で作る尊敬語です。上司や取引先など、敬意を示したい相手の動作に使います。

  • 部長は、先ほどお送りした報告書をお読みになりましたか。
  • 先生がこの本をお読みになる予定です。

なお、「読まれる」も尊敬語として使えます。ただし、「この資料は多くの人に読まれています」のように受け身にも見えるため、誰の動作かを明確にしたい場面では「お読みになる」が分かりやすいでしょう。

自分が読むなら「拝読する」

「拝読する」は、自分が相手の文章や資料を読むことをへりくだって述べる謙譲語です。特に、取引先から届いたメール、上司が作成した資料、相手の著書などを読んだことを伝える際に使えます。

  • お送りいただいた企画書を拝読しました。
  • いただいたご意見を拝読し、修正案をまとめました。

自分のために買った本を読むといった日常の話なら、「読みます」で自然です。敬意を向ける相手や、その相手の文章があるかを目安にしましょう。

ビジネスメールで使える「読む」の敬語表現

メールでは「読む」という動作そのものより、読んでほしいのか、読んだことを報告したいのかで表現を選びます。依頼と報告、それぞれの定番を押さえましょう。

相手に読んでほしいときは「ご一読ください」

「ご一読」は、一通り読むことを丁寧に表す言葉です。資料や案内文を読んでほしいときは、「ご一読ください」「ご一読いただけますと幸いです」が使えます。

  • 添付のご案内をご一読ください。
  • お手すきの際に資料をご一読いただけますと幸いです。
  • 会議までに議事録をお読みいただけますでしょうか。

「ご一読ください」は簡潔な依頼です。相手の都合にも配慮したい場合は「ご一読いただけますと幸いです」を選ぶと、より柔らかく伝わります。一方、数字や内容の正誤まで確かめてほしいなら、「ご一読」より「ご確認ください」のほうが目的に合います。

読んだことを報告するときは「拝読しました」

受け取った文章を読んだ報告なら、「拝読しました」が簡潔です。次の対応も必要なメールでは、読了の報告だけで終えず、要件を続けると伝わりやすくなります。

  • ご送付いただいた資料を拝読しました。修正点について、明日までに回答いたします。
  • メールを拝読しました。ご質問の件につきまして、以下のとおり回答します。

相手に読んでよいか尋ねる場合は、「拝読してもよろしいでしょうか」と言えます。ただし、すでに共有された資料を読むだけなら、許可を求めるより「資料を拝読します」と伝えるほうが自然なこともあります。

「お読みください」と「ご一読ください」の違い

どちらも相手に読むことを依頼する表現です。「お読みください」は読む行為を直接示し、「ご一読ください」は文書に一通り目を通してほしいときに向いています。例えば、操作手順の特定箇所を読んでほしいなら「3ページをお読みください」、添付資料全体を確認してほしいなら「添付資料をご一読ください」が分かりやすいでしょう。

ただし、「ご一読」は必ずしも精査を意味しません。承認や判断まで求める場合は、「内容をご確認のうえ、ご返信ください」のように、求める行動を明記してください。

「拝読」「拝見」「目を通す」はどう使い分ける?

「読む」に近い敬語には「拝見」や「目を通す」もあります。対象と、どこまで確認したかによって使い分けると正確です。

文章を読むなら「拝読」、見ることが中心なら「拝見」

「拝読」は文章を読むこと、「拝見」は見せてもらうことをへりくだって表します。取引先から届いた提案書の本文を読んだなら「提案書を拝読しました」、図面や写真を見たなら「図面を拝見しました」が具体的です。

資料には文章と図の両方が含まれるため、「資料を拝見しました」も使えます。ただし、長い文章をしっかり読んだことを伝えたいなら「拝読しました」のほうが意図が明確です。

軽く確認しただけなら「目を通しました」

「目を通す」は、文章をざっと見る意味でも使われます。内容をまだ十分に読み込んでいない段階で「詳しく拝読しました」と書くと、実際の確認状況とずれてしまいます。

  • 概要を確認した段階:「資料に目を通しました。詳細は本日中に確認します」
  • 本文まで読んだ段階:「資料を拝読しました。ご提案の内容について回答します」

言葉の丁寧さだけでなく、実際にどこまで読んだかが相手に正しく伝わる表現を選びましょう。

「読む」の敬語で間違えやすい表現と直し方

「読む」の敬語は、丁寧そうな言葉を重ねればよいわけではありません。特に次の3点は、メールを書く前に確認しておくと安心です。

相手の動作に「拝読してください」は使わない

「拝読」は自分の動作をへりくだる言葉です。相手に読むことを頼む場合は、尊敬の表現を使います。

  • 避けたい例:「添付資料を拝読してください」
  • 言い換え:「添付資料をご一読ください」

同じ理由で、上司を主語にした「部長が拝読されました」も不自然です。「部長がお読みになりました」と言いましょう。

「お読みになられる」は敬語を重ねすぎ

「お読みになる」だけで尊敬語として成立しています。さらに尊敬の「られる」を付けた「お読みになられる」は、同じ種類の敬意を重ねた二重敬語に当たるため、避けるのが無難です。「読まれる」または「お読みになる」のどちらかを選びましょう。

「読ませていただきます」を毎回使う必要はない

「読ませていただきます」は、相手の許可を得て読むことや、その行為によって自分が恩恵を受けることを表したい場合に適しています。例えば、未公開の原稿を特別に見せてもらう場面なら自然です。

一方、通常の業務で送られた資料に対して毎回使うと、回りくどく感じられることがあります。「資料を拝読します」「内容を確認します」で足りるか、まず考えてみましょう。

まとめ|「読む」の敬語は主語と目的で選ぶ

「読む」の敬語は、相手が読むなら「お読みになる」、自分が相手の文章を読むなら「拝読する」が基本です。相手に依頼するときは「ご一読ください」、正誤の確認まで必要なら「ご確認ください」と、目的に合わせて言い換えましょう。

「見る」「聞く」など、ほかの日常動作の敬語もまとめて確認したい方は、日常動作の敬語(応用編)についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

つまり、「誰が読むか」と「何をしてほしいか」が決まれば、適切な敬語を選べます。