「見送る」の敬語は?お見送りの言い方とお断りでの使い方

「見送る」を丁寧に言いたいときは、まず何を見送るのかを確認しましょう。相手を送り出すなら、自分の行為は「お見送りいたします」。提案や採用などを行わないなら、「今回は見送ることといたしました」が基本です。同じ「見送る」でも意味が違うため、敬語表現も分けて考えると迷いません。

この記事では、来客対応とビジネス上の判断という2つの意味を整理し、相手の行為を敬う言い方、断りや延期を伝える言い方まで例文で解説します。

「見送る」の敬語は意味によって変わる

「見送る」には、大きく分けて①帰る人を送り出す、②実施や採用を控えるという2つの意味があります。まずは次の使い分けを押さえましょう。

伝えたい意味 使いやすい表現 例文
自分が相手を送り出す お見送りいたします 出口までお見送りいたします。
相手が誰かを送り出す お見送りになる/お見送りくださる 部長がお客様をお見送りになりました。
提案などを採用しない 見送ることといたしました 今回は導入を見送ることといたしました。
予定していた実施を控える 見合わせます/延期いたします 開催を見合わせます。/来週に延期いたします。

ポイントは、誰の行為を敬うかと、判断が一時的なものか、今回限りで終わるものかの2点です。「お見送り」は主に人を送り出す場面で使い、提案への返答では「導入を見送る」など、判断の対象を明示すると伝わりやすくなります。

ほかの日常動作の言い換えも確認したい方は、日常動作の敬語(応用編)のまとめをご覧ください。

人を「見送る」ときの敬語:来客対応の言い方

自分が見送るなら「お見送りいたします」

来客や取引先の方を自分が送り出す場合は、「お見送りいたします」が自然です。「お見送りする」をさらに丁寧にした表現で、自分側の行為をへりくだって述べ、相手への敬意を示します。

  • 「受付までお見送りいたします。」
  • 「エレベーターまでお見送りいたします。」
  • 「本日はお越しいただき、ありがとうございました。出口までお見送りいたします。」

このように「受付まで」「エレベーターまで」など、どこまで案内するかを添えると、相手も次の動きが分かります。見送る行為を申し出るなら「お見送りしましょうか」でも丁寧ですが、取引先への改まった応対では「お見送りいたします」が使いやすいでしょう。

相手が見送るなら「お見送りになる」「お見送りくださる」

上司や取引先など、敬意を向ける相手が見送る場合は、自分を低める「お見送りいたします」を主語だけ替えて使わないようにします。相手の動作には、尊敬の表現を用います。

  • 「部長がお客様をお見送りになりました。」
  • 「先日は駅までお見送りくださり、ありがとうございました。」
  • 「お忙しい中、お見送りいただきありがとうございました。」

お礼の「お見送りくださり」は、相手がしてくれた行為を主語にした言い方です。一方、「お見送りいただき」は、自分がお見送りを受けた立場から述べています。どちらもお礼として使えます。

「見送っていただく」は、相手にしてもらうとき

「見送っていただく」は、自分が相手に見送ってもらう意味です。「私がお客様を見送る」と言いたい場面で「お客様を見送っていただきます」とすると、誰に何を頼んでいるのか分かりにくくなります。自分がするなら「お見送りいたします」、相手にしてもらったなら「お見送りいただきました」と、行為の主体を確かめましょう。

提案や予定を「見送る」ときの丁寧な伝え方

取引先の提案を断るなら、判断と感謝をセットで伝える

提案・導入・契約などを「今回は行わない」と伝える際は、「見送らせていただきます」だけで終えず、対象、判断、感謝の順に示すと、誤解を減らせます。

  • 「ご提案をいただき、誠にありがとうございます。社内で検討した結果、今回は導入を見送ることといたしました。」
  • 「詳細な資料をお送りいただき、ありがとうございました。予算を踏まえて検討し、今回は契約を見送る判断となりました。」
  • 「せっかくお声がけいただいたところ恐縮ですが、今回は参加を辞退いたします。」

「見送る」は判断をやわらかく伝えられる一方、後日あらためて検討する可能性があると受け取られることもあります。参加を断るなら「辞退いたします」、今回は採用しないと明確に伝えるなら「今回は採用を見送ることといたしました」など、結論に合う言葉を選びましょう。再検討を約束できない場合は、安易に「次回はぜひ」と添える必要はありません。

「見合わせる」「延期する」「中止する」は結論に合わせて選ぶ

予定についての「見送る」は、一時的に控えるのか、別の日に実施するのか、その予定自体をやめるのかが曖昧になりがちです。決まっている範囲を正確に伝えましょう。

  • 見合わせる:当面は実施しない。「諸事情により、今月の開催を見合わせます。」
  • 延期する:実施を後日に延ばす。「開催を11月に延期いたします。」
  • 中止する:予定していた実施を取りやめる。「本日の説明会は中止いたします。」

たとえば「面談を見送ります」だけでは、日程を変えるのか、面談自体をしないのか判断できません。次の予定が決まっているなら日付を、未定なら「今後の予定は決まり次第ご連絡いたします」と補足すると親切です。

「見送らせていただきます」は使ってもよい?注意したい表現

「見送らせていただきます」は便利だが、連発しない

「見送らせていただきます」はビジネスで使われる表現です。ただし、「させていただく」は、相手の許しを得て行うことや、その行為によって自分が恩恵を受けることを表す言い方です。相手の提案を採用しないという自社の判断を伝える場面では、毎回この形にする必要はありません。

  • 「今回は見送らせていただきます」→「今回は導入を見送ることといたしました」
  • 「採用を見送らせていただきます」→「選考の結果、今回は採用を見送ることとなりました」

「見送らせていただきます」が常に誤りというわけではありません。大切なのは、丁寧さを足すことよりも、何を、どのように判断したかを明確にすることです。

「お見送りさせていただきます」は、まず言い換えを検討

来客を送り出す際の「お見送りさせていただきます」は、必要以上に長く聞こえる場合があります。相手の許可を特に確認する場面でなければ、「お見送りいたします」で十分丁寧です。相手が見送りを望むか確かめたいなら、「出口までお見送りしてもよろしいでしょうか」と尋ねる方法もあります。

また、「お見送りになります」を自分の行為に使うのは避けましょう。「お見送りになる」は相手の動作を敬う言い方です。反対に、上司の動作を「部長がお見送りいたします」と言うと、自分側の行為をへりくだる表現との関係が分かりにくくなります。社外の相手に自社側の行為を述べる場合を除き、誰に対して敬意を示す文なのか確認してください。

場面別の例文と、送る前に確認したい3点

そのまま使える短い例文

  • 来客を送り出す:「本日はありがとうございました。エントランスまでお見送りいたします。」
  • 見送ってもらったお礼:「先日はお忙しい中、駅までお見送りいただき、ありがとうございました。」
  • 提案を採用しない:「ご提案をありがとうございます。検討の結果、今回は導入を見送ることといたしました。」
  • 参加を断る:「お誘いいただきありがとうございます。あいにく日程が合わず、今回は参加を辞退いたします。」
  • 予定を先に延ばす:「10月15日に予定していた打ち合わせは、10月22日に延期いたします。」

メールやチャットで使う前には、次の3点を確認しましょう。

  1. 「見送る」のは人か、提案・予定か。
  2. 行為をするのは自分側か、敬う相手か。
  3. 判断を伝えるなら、不採用・延期・中止のどれか。

この3点が分かれば、「お見送りいたします」「お見送りくださりありがとうございます」「今回は見送ることといたしました」などから、場面に合う言葉を選べます。

つまり、「見送る」の敬語は、送り出すなら誰がするか、判断を伝えるなら何が決まったかを明確にすることが基本です。