二重敬語とは?よくある例と正しい言い換え一覧

結論:二重敬語は「同じ語への敬語の重ね過ぎ」

「おっしゃられる」は、すでに尊敬語である「おっしゃる」に、さらに尊敬の「れる」を付けた二重敬語です。「おっしゃる」と言えば、相手を敬う気持ちは十分に伝わります。

見分ける際は、敬語が2つあるかどうかだけでなく、同じ語に、同じ種類の敬語を重ねているかを確認しましょう。例えば「お読みになりました」は、尊敬語「お読みになる」に丁寧語「ます」を添えた表現であり、二重敬語ではありません。

迷ったときの目安は、動作を表す部分を1つ取り出し、そこに付いている尊敬表現・謙譲表現を数えることです。ただし、慣用として定着している表現もあるため、敬語を機械的に削ればよいわけではありません。

敬語全般の誤用も確認したい方は、間違えやすい敬語についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

二重敬語の意味と、間違えやすい理由

「尊敬語を2回」が典型的な形

二重敬語とは、文化庁の「敬語の指針」で示されている考え方では、一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものです。分かりやすい例が「お読みになられる」です。

  • 読む → 普通の言い方
  • お読みになる → 「お~になる」で尊敬語にする
  • お読みになられる → さらに尊敬の「れる・られる」を重ねる

「お読みになる」の時点で敬意は表せています。丁寧にしたいなら、尊敬語をもう一つ足すのではなく、「お読みになります」のように丁寧語「ます」を添えれば十分です。

敬語が2つ見えても、必ずしも二重敬語ではない

敬語には、相手の動作を高める「尊敬語」、自分側の動作を低めて相手を立てる「謙譲語」、文全体を丁寧にする「丁寧語」などがあります。種類が違う敬語の組み合わせまで、すべて二重敬語と呼ぶわけではありません。

例えば「部長がお読みになりました」は、「読む」を尊敬語にしたうえで、文末を「ます」によって丁寧にしています。また「私が資料を拝見しました」は、自分側の「見る」を謙譲語「拝見する」で表し、文末を丁寧にしています。どちらも、そのまま使える表現です。

「敬語は1文に1つまで」というルールもありません。判断する単位は文全体ではなく、まずは一つ一つの語と、その敬語の働きです。

よくある二重敬語の例と正しい言い換え

会話やビジネスメールでは、すでに敬語になっている動詞へ、さらに「れる・られる」や「お~になる」を付けてしまうケースが目立ちます。まずは次の5例を押さえましょう。

避けたい表現 言い換え例 重なっている部分
おっしゃられる おっしゃる 「おっしゃる」+「れる」
ご覧になられる ご覧になる 「ご覧になる」+「られる」
お読みになられる お読みになる 「お読みになる」+「られる」
お帰りになられる お帰りになる 「お帰りになる」+「られる」
お話しになられる お話しになる 「お話しになる」+「られる」

「おっしゃられる」は「おっしゃる」に

「おっしゃる」は「言う」の尊敬語です。そのため、「社長がおっしゃられた方針」は「社長がおっしゃった方針」と言い換えます。現在や未来の話なら「社長がおっしゃる方針」、質問なら「何とおっしゃいましたか」が自然です。

「おっしゃる」は形が少し変わる動詞なので、「おっしゃいました」「おっしゃった」と、よく使う形を覚えておくと迷いません。文末の「ます」は丁寧語であり、ここでいう二重敬語には当たりません。

「ご覧になられる」は「ご覧になる」に

「ご覧になる」は「見る」の尊敬語です。「資料をご覧になられましたか」では敬意が重なるため、「資料をご覧になりましたか」とします。依頼文なら「添付資料をご覧ください」と言い換えることもできます。

「見る」には「見られる」という尊敬の形もありますが、文脈によっては「見ることができる」という意味にも読めます。案内や確認の依頼では、「ご覧になる」「ご覧ください」を使うと意図が伝わりやすくなります。

「お読みになられる」は「お読みになる」に

「お読みになられる予定ですか」は、「お読みになる予定ですか」に直せます。より短く質問したいなら、「こちらをお読みになりますか」でも十分丁寧です。

特にメールでは、敬意を足そうとして表現が長くなりがちです。「お+動詞+になる」を使ったら、後ろに尊敬の「れる・られる」を重ねていないか確認しましょう。

例外に注意:二重敬語と決め付けなくてよい表現

「お召し上がりになる」は慣用として使われる

「召し上がる」は「食べる・飲む」の尊敬語です。そこに「お~になる」を重ねた「お召し上がりになる」は、形の上では二重敬語に当たります。ただし、慣用として定着し、一般に使われている表現です。

したがって、「二重敬語の形だから必ず誤り」と一律に直す必要はありません。簡潔に言いたい場合は「召し上がる」を選べます。例えば「こちらで召し上がりますか」も「こちらでお召し上がりになりますか」も、場面に応じて使われます。

「拝見させていただく」は別の観点でも確認する

「拝見させていただきます」は、長くて過剰に感じられることがあります。ただし、先ほどの「おっしゃられる」と同じ仕組みの二重敬語だと、単純に分類するのは避けましょう。「させていただく」には、相手の許可を受け、その行為によって自分側が恩恵を受けるという意味合いがあります。

例えば、送られてきた資料を確認すると伝えるだけなら「資料を拝見します」で十分です。相手の許可を得て資料を閲覧する事情を示したいなら、「拝見させていただきます」が文脈に合う場合もあります。問題は敬語の数だけでなく、その場面に「させていただく」の意味が必要かです。

ビジネスメール・会話での直し方を3手順で解説

実際の文章では、次の3手順で確認すると、丁寧さを保ちながら簡潔に直せます。

  1. 動作の主語を確かめる。相手の動作なら尊敬語、自分側の動作なら謙譲語を基本にします。「社長が言う」なら「社長がおっしゃる」、「私が見る」なら「私が拝見する」です。
  2. 動詞がすでに敬語か確認する。「おっしゃる」「ご覧になる」などは、それ自体が尊敬表現です。「れる・られる」を足す前に、元の語を確認します。
  3. 丁寧さは文末で整える。必要なら「です・ます」を使います。「部長がご覧になりました」「私が拝見しました」のようにすれば、敬意を重ね過ぎず丁寧に伝わります。

送信前には、メール中の「られる」を一度検索するのも実用的です。すべてを削除するのではなく、「ご覧になられる」「お話しになられる」のように、前の部分がすでに尊敬語になっていないかを確かめてください。

言い換えの際は、相手の動作を自分側の謙譲語に変えないことも大切です。例えば、相手に資料を見てもらうなら「ご覧ください」であり、「拝見してください」ではありません。「拝見する」の主語は自分側です。

二重敬語についてのよくある疑問

二重敬語は失礼に当たりますか?

二重敬語を使ったからといって、直ちに失礼になるわけではありません。丁寧に話そうとする意図は伝わるでしょう。一方で、文が回りくどくなったり、不自然に聞こえたりすることはあります。ビジネス文書では、慣用として定着した表現を除き、簡潔な言い方を選ぶと読みやすくなります。

「お~になる」と「ます」は一緒に使えますか?

使えます。「お読みになります」「お帰りになりました」のように、尊敬語と丁寧語を組み合わせた形です。避けたいのは「お読みになられます」のように、「読む」という同じ動作に尊敬表現を重ねる使い方です。

つまり、二重敬語を見分けるポイントは「敬語がいくつあるか」ではなく、「同じ語に同じ種類の敬語を重ねていないか」です。